趣味・娯楽ピーク ~2028

擬態コロニー「群れで作る共同幻想リゾート」

兆し: みんなで嘘の聖地を作りたい

個人がバズを競うのではなく、群れで一つの「存在しない聖地」を共同創作するSNS機能。誰かが架空リゾートの外観を生成すると、別の人が客室を、別の人が偽の口コミや交通アクセスを継ぎ足す。欠けた設定があると「未完成タグ」で参加者へ通知が飛び、少しずつの嘘が積層して公式サイト級の架空観光地が完成する。自己顕示を「群れの一員である満足」へ転化するのが新しい。

なぜ流行るか

高級ホテルや映え写真を投稿する従来の自己顕示は、経済的負担と本物競争への疲労を生んでいる。その反動でAIによる「偽の贅沢」を作り込む大喜利が静かに芽吹き始めた。一人のバズより共同創作と帰属感を求める層と噛み合い、群れで作る遊びとして広がる。

刺さる人: 20代後半〜30代前半の、オタク的コミュニティに属する会社員層

この層は学生時代から二次創作や合作文化に親しみ、「一人で目立つ」より「界隈で同じ設定を共有する」喜びを知っている。社会人になり可処分時間は細切れだが、通勤や昼休みの数分で設定を一行足す参加形態は、忙しい彼らの生活リズムに合う。本物の旅行に金をかけにくい経済状況も、嘘の聖地で満たされる帰属欲と相性が良い。

ストーリー

高橋遥、29歳、都内のメーカー勤務。学生時代は二次創作サークルで合作SSを書いていたが、就職後は時間が取れず界隈から離れ、SNSも見るだけになっていた。ある日「霧の浮島ホテル」という未完成の架空リゾートに「最寄り駅の伝説」が欠けているという通知を受け取る。通勤電車の十分で、彼女は『終電後にだけ現れる無人駅』という設定を書き足した。翌朝、見知らぬ誰かがその駅前に架空の屋台街を生やしていた。誰も行ったことのない場所が、皆の少しずつの嘘で公式サイト級に育っていく。一人でバズる必要はない。彼女はまた「群れの一員」に戻れた気がした。

powered by lowband